必見!VOIP技術者への最新アンケート結果から見えてきたクラウド利用の問題点とは




今回は非常に面白いトピックです。SIP School(https://www.thesipschool.com/)の行ったVoIP技術者へのアンケート結果から、実際に企業がクラウドサービスを利用した際にどういった問題に直面しているか明らかになりました。

これまでも紹介してきた通り、IP-PBX及びコールセンターシステムについて、オンプレミス型とクラウド型、どちらにも長所、短所はあります。今回はクラウドサービスを利用した際に直面した問題に焦点を当てますが、決してクラウドがダメというわけではないのでご注意ください。

 

アンケート対象は約840名のVoIPプロフェッショナル。内、クラウドを利用中と回答した197名。

 

音声会議がクラウド利用の目的として最多

クラウドサービスの利用目的について、上位ベスト6は以下です。SIP School “SIP Survey 2018″(https://telecomreseller.com/category/writers/vendor-voices/the-sip-school-blog/)より引用。

 

1. 音声会議(カンファレンスコール) (106)

2. PBX機能  (90)

3.ビデオ会議 (89)

4.オンラインミーティング (79)

5.コールセンター(コンタクトセンター) (59)

6.通話録音 (55)

 

各サービスの後ろの数字は回答件数です。さあ、こういったクラウドサービスを利用しているユーザーは何に頭を悩ましているのでしょうか?

 

1.品質、2.ネットワーク設定問題、3.初期設定がトップ3

1位は品質問題回答全体の28%を占めました。サービスを提供しているIP-PBXやコールセンターシステムの品質が悪いという問題です。これには音声品質、遅延、コールのドロップなどの問題が含まれます。また、クラウド側のシステムと、クライアントが使用している端末(SIPデバイス)の相性が悪いという場合もあります。一般的にクラウドサービスでは、サーバー側の設定を変更してクライアントが使用するデバイスに最適化するといったことはできないためなかなか難しい問題です。

クラウドに移行する場合は自社で使用している機器(IP電話機)がそのクラウドサービスで使用できるか、事例があるか事前に確認することをおススメします。また、少数の端末を使用して事前に十分な品質テストをすることもおススメします。

 

 

2位はネットワーク設定における問題です。回答者全体の26%がこの問題に直面したと回答しました。これはクラウド側ではなく、主にクライアント側の問題です。内訳はNAT、Firewall、SBC等の設定が漏れていたり、正しくされていないために発生します。一般的にある程度規模の大きな企業ではクライアント端末担当、サーバー担当、ネットワーク担当、セキュリティ担当等が別チームや別部署になっていることが多く、これら担当者が上手く連携できなかった場合、問題の切り分けや解決に時間を要します。これまでに外部のクラウドと接続する経験がない場合、ある程度覚悟する必要がある問題です。

 

 

3位は初期設定。回答者全体の22%がこの問題を指摘しています。これはスモールオフィスでは気にする必要はありませんが、端末が1000を超えるような企業やコールセンターの場合は由々しき問題です。オンプレミスの場合、ベンダーがヘッドセットやSIPデバイスも合わせて提供、設定してくれる場合もありますが、クラウドサービスの場合、自前でセットアップしなければいけないケースが多いようです。

 

クラウドサービスを選択した場合、これらIP電話機は誰がセットアップしているのでしょか。少し掘り下げて見ていきましょう。

 

 

回答者全体の7割はユーザー自らIP電話機をセットアップ

 

調査(SIP School “SIP Survey 2018″より引用)の結果、クラウドサービスを選択した場合、そのおよそ7割はユーザー企業自らIP電話機(ソフトフォンを含む)をセットアップしていることがわかりました。内訳は以下。

 

29.95% -プロバイダーが機器を提供し、設定は自動プロビジョニング。

31.47% – プロバイダーが機器を提供し、設定は自社内で手動で実施。

38.58% – プロバイダーは何も提供しない(全て自社内で調達、設定)。

 

端末(IP電話機)数が1000を越えてくると非常に頭を悩ます問題です。解決策としての筆頭はやはり自動プロビジョニングです。効率面からも、セキュリティ面からも断然おススメのソリューションです。使用しているベンダーがプロビジョニングを行ってくれない場合や端末メーカーがバラバラで自動プロビジョニングが行えないといった場合でもサードパーティーが自動プロビジョニングソリューションを提供している場合もありますので、是非調べてみましょう。

 

いかがでしたでしょうか。クラウドならではの問題が垣間見えたかもしれませんね。

また、プロビジョニングの仕組みについては以下で解説しています。興味ある方は是非ご覧ください。