2019年 コールセンターのトレンド大予測 トピック10 (2. テクノロジー編)




2019年 コールセンターのトレンド大予測 トピック10 (2. テクノロジー編)

 

 

2019年のコールセンターにおけるトレンド予測の第二弾、テクノロジー編です。前回はコールセンター運営の視点からトピック10を紹介しましたが、今回はそのコールセンターを支えるテクノロジーやシステムに関するトレンドを予測します。前回をまだ見ていない人はそちらから先に見ることをおススメします。

さて、2019年のコールセンターシステムのトレンドですが、やはりこちらも2018年からの流れを引き継いでいます。また、ここ、コールセンター先進国であるアメリカのトレンドもふまえて日本でのトレンドを予測します。

 

 

1. クラウドサービスの強化

これは誰でも予想つきますね。クラウドへの移行が2019年も進むと考えられています。巷では”デジタルトランスフォーメーション”というバズワードがよく聞かれ、企業はシステム更改のタイミングでクラウド化を検討することが当たり前となってきました。クラウド化は必ずしも良いとは限りません。クラウドコールセンターが自社の業務に適しているのであれば採用すべきであり、オンプレミス型が適している場合であればそちらを採用すべきです。

クラウドコールセンターの長所、短所についての詳細記事はコチラ

以前はそのクラウドという選択肢がなかったわけですが、現在、企業は業務に合った形態を選択することが出来るということです。「これまでオンプレミス型を強いられていたが自社の業務にはクラウド型が適している」と判断した企業がクラウド型に移行するため、さらにクラウドコールセンターのシェアは拡大することが見込まれます。

 

 

2.  AI を利用したカスタマーとのやり取り

ディープラーニングを利用した様々なソフトウェアやサービスが提供されています。その中でもエージェントがカスタマーとやり取りする際、その業務を補助するツールが昨年(2018)から実用レベルに達してきました。カスタマーへの最適な回答を表示したり、関連のある情報を画面に表示したりする例が見られます。

 

 

3. 分析の強化

AI, ディープラーニングを利用した高度な分析が提供されています。2019年もこの方向性は変わりません。分析対象はエージェント、コールセンター、キャンペーン、カスタマーと多岐にわたります。ディープラーニングを利用した顧客のスコアリングや行動予測などは実務で利用しているコールセンターも多く見られます。

 

 

4. 遠隔地エージェント用技術の強化

在宅勤務、リモートオフィスでの勤務が可能となるコールセンターが増加すると考えられます。その大きな要因はやはり労働力不足があります。コールセンター運営業者はこれらの勤務体系を認めなければ人材確保が難しくなります。

一般的にクラウドコールセンターはリモートからのサービス利用が前提であるため、これらの勤務体系に強いと言えます。しかしながら機密性の高い情報を扱うコールセンター業務では情報漏えいを防ぐため補助的に他のソリューションを導入する必要もあります。

 

 

5. CS, CX測定のための仕組み、ソリューション

「CXの向上」をバズワードに新しい測定方法、評価方法が提供されています。これまで得られなかった情報をシステムで収集し、新しいKPIと導入することが多く見られます。例としてはAIを使用してカスタマーとの会話を分析することによりカスタマーの心情やそれ以上の情報を得る例などがあります。(例としてこちらの記事では音声分析SpeechIQの紹介をしています。)

 

 

6. Social media を使用した価値のある会話

ただ繋ぐだけではなく、カスタマーとコールセンターが相互にやり取りして、継続的な価値のあるリレーションを構築する試みが見られます。しかしながらまだ本番ではトライアル段階です。

 

 

7. 自己解決のための補助的技術

カスタマーが自己解決できるためのありとあらゆる手段をコールセンター側で提供していくための技術、サービスです。AIを使用した最適なFAQの提示などが例としてあります。これら技術によりエージェントは高度な問い合わせへの対応やコンサルティングなど、よりインテリジェントな業務に集中することが出来ます。

 

 

8. STIR/SHAKEN 対応(主にアメリカ)

みなさんのスマートフォンに掛かってくる電話は何割ぐらいが意味のある相手(知人や家族など)からの電話でしょうか?8割?9割?日本ではこの割合はまだ高いかもしれません。アメリカでは意味のない相手(ロボコール)から電話の割合が非常に多くなります。一説には電話の全発信の3分の2がロボコールではないかと言われています。しかも発信業者は簡単に発信元を偽装することが出来ます。この発信元の偽装対応として有力な手段がこのSTIR/SHAKENです。このトレンドは非常に重要なため詳細を別途記事で紹介します。

 

 

9. Bot 機能の向上

2019年はコールセンターにおいて、AIボットの本格的使用元年だと言えるでしょう。既にAIボットは実業務で使用されています。AIボットは導入が比較的容易であるため、評価する企業も多く見られます。今後もAIボットの適用範囲は拡大することが見込まれます。

 

 

10. これまでの運用の継続

コールセンタートレンドでの調査の結果、コールセンターへのIT予算の大半はこれまでのシステムの維持に充てると回答した企業が全体の8割を超えました。つまり、本当のトレンドは現状の維持と運用の継続です。つまり、1-9で紹介した動きは確かにトレンドとしてありますが、IT投資としての主軸は現状維持が全体の流れのようです。