今日から使える実践技術 [1. IP電話機のプロビジョニングを理解する]



今日から使える実践技術 [1. IP電話機のプロビジョニングを理解する]

 

 

プロビジョニングとは、主にIT分野において、物理的な機器設備の準備、仮想環境、クラウド環境などの準備や設定のことを指す言葉として広く使用されています。今回はその中でも特にIP電話機(SIPフォン)のプロビジョニング機能について説明します。

 

IP電話機のプロビジョニングとは?

 

IP電話機のプロビジョニングとは、リモートサーバーから各IP電話機の設定を自動で行う機能です。簡単な流れは以下です。

 

1. まず、各IP電話機の設定内容をプロビジョニングサーバー側に保存しておき、IP電話機にはプロビジョニングサーバーのアドレスを参照先として設定しておきます。

 

2. 次にIP電話の電源がONにされ、ネットワークに接続されると、IP電話機は自身の設定ファイルをプロビジョニングサーバーに問合せ、その設定内容を元に自身の設定を完了させます。

このように自動的にIP電話機に設定を適用するため、「オート・プロビジョニング」とも呼ばれることもあります。現場で作業員の方が一台一台電話機の設定をする必要がなくなるため使いこなすと非常に便利な機能です。

 

次はこの機能の長所と短所について見ていきます。

 

 

プロビジョニング機能の長所

・遠隔地にあるサーバー(プロビジョニングサーバー)から複数台の電話機の設定を変更可能。

 

・現場での作業員による電話機の設定がなくなるため、電話機内のIDやパスワード情報の漏洩の心配がなくなる。

 

 

プロビジョニングの短所

・IP電話機メーカーによってプロビジョニングの仕様がバラバラ。

通常、IP電話機メーカーから提供されたプロビジョニングサーバーを使いますが、社内で複数のメーカの電話機を使用した場合、管理しなければならないプロビジョニングサーバが増えてしまいます。

 

 

・各IP電話機のプロビジョニングに使用する設定ファイルの数が増大する。

そもそもIP電話機は機能が豊富なため、設定ファイル自体が複雑です。管理するIP電話機の数が増えると設定ファイルの数も増加します。また、IP電話機メーカーによってこの設定ファイルも異なります(設定項目やファイルの数など)。プロビジョニングサーバー管理者は各IP電話機について深い知識が必要となります。

 

 

・各IP電話機のプロビジョニングステータスがよくわからない。

各IP電話機メーカーが準備しているプロビジョニングサーバーとは単純なFTPサーバーやHTTPサーバーがほとんどです。各IP電話機はこれらのサーバーに問合せて設定ファイルをダウンロード後、自動でIP電話機自身の設定を完了させます。しかしながらプロビジョニングサーバー側ではこれらIP電話機のプロビジョニングがうまくいったかどうかそのステータスが簡単に把握できないのです。

 

 

それでも使いたいプロビジョニング機能

 

上記のような短所はあるものの、やはり遠隔地から一気にIP電話機の設定を行うことは非常に有用です。例えば1000台のIP電話機の初期設定を手動で行うとなると落ち込みますよね。

それではユーザーはどのようにしてプロビジョニング機能を使用しているのでしょうか。

 

 

方法1.IP電話機メーカーを限定

使用するIP電話機の種類を限定するという手段があります。IP電話機メーカー毎に違うプロビジョニングの仕様をいくつも覚える必要がなくなります。

しかしながら、端末が多くなるにつれて設定ファイルが膨大になる問題やプロビジョニングステータスがわからない問題は解決しません。そのためには次の方法2を取る必要があります。

 

 

方法2.マルチIP電話機メーカー対応プロビジョニングサーバーを使用

サードパーティが提供する高機能プロビジョニングサーバを使用します。主要なIP電話機メーカーのプロビジョニングの仕様に対応しているものや各IP電話機のプロビジョニングステータスを管理できるものがあります。

 

 

次回はこの方法2について詳しく紹介していきます。

今日から使える実践技術 [2. IP電話機メーカーによって違うプロビジョニング仕様]>>