コールセンターでクラスターは本当に発生しやすいのか?韓国の事例を考察。



コールセンターでクラスターは本当に発生しやすいのか?韓国の事例を考察。

 

 

コロナ禍の2020年5月現在、多くのコールセンター業務において縮小や停止を余儀なくされています。またオペレーションを在宅勤務へ切り替えてコールセンターの運営を継続している企業も見られます。これは一般にコールセンターオフィスがいわゆる「3密」に該当しているためだと言われています。

 

それではコールセンターでクラスターは本当に発生しやすいのでしょうか。もし、そうであれば何処に原因があるのでしょうか。今回はコールセンターがクラスターの発生原因として広く認知されたきっかけの事例、韓国ソウルでの事例を詳しく見ながら解説します。今回は米国CDCが発表している”EMERGING INFECTIOUS DISEASES – Coronavirus Disease Outbreak in Call Center, South Korea”の報告をもとにしています。

 

 

 

事例の大まかな流れ:
  • 3月8日、ソウル市、XビルでCOVID-19の症例が報告され、クラスターの可能性が指摘されました。
  • 3月9日、ビル閉鎖。調査を開始しました。Xビルはソウル市街地の1つにある19階建ての建物です。
  • 3月9日-12日、すべての居住者に検査実施。

 

Xビル(19階建て):
  • 1階 – 11階: 商業オフィス(922人)
  • コールセンターは7-9階と11階。従業員は合計811人。
  • 13階 – 19階: 住宅 (203人)
  • その他、訪問者20

 

 

検査結果:
  • 1,145人の調査対象のうち、ほぼ全員にあたる1,143(99.8%)人についてCOVID-19(従業員922人、住民201人、訪問者20人)検査実施。
  • その結果97人の感染者を特定。

 

ここで特筆すべき事実が見つかりました。確認された感染者のほとんど(94人 [96.9%])は、合計216人の従業員がいる11階のコールセンターで働いていました。

さらにこの感染者のほとんどは下図のように11階フロアの中で同じ側に集中していました。青色の席が感染が確認された方が使用したシートです。

CDCウェブサイトより引用(https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/8/20-1274_article)

 

コールセンターオフィス特有の環境は感染しやすい

 

また、エレベータやロビー介して従業員のかなりの往来があったにもかかわらず、他フロアへのCOVID-19の広がりはほとんどなく、ほぼ排他的に11階に限定されていたことも特徴的です。

 

この調査結果をふまえ、ある専門家は「このアウトブレイクは、コールセンターなどの混雑したオフィス環境において、コロナウイルスが非常に伝染する可能性があることを示している」と指摘しています。

 

 

このXビル事例から、少なくとも「混雑した席の配置」、「近距離での複数人での会話」などコールセンターオフィス特有の環境は避けたほうが良いということが言えそうです。

 

今後オフィスの衛生管理者は一人当たりの十分な気積(広さ)の確保や換気がなされているかチェックする必要があります。またエージェントの在宅オペレーションは感染予防の有効な手段となるでしょう。

 

在宅勤務についてはコチラの記事を参考>>