アウトバウンドコールの規制について

[第1回 日本でのルール]

 

 

 

消費者保護の観点からいくつかの関連法規がありますが、コールセンター/コンタクトセンターを運営する際に特有のルールの一つとして、アウトバウンドコールに対するルールがあります。

このルールは国により(または州により)微妙に異なりますが、消費者保護を目的とするという方向性では一致しています。
特にアメリカなど、固定電話への通話が無料といった国では、きちっとルールを決めないとアウトバウンドコール業者からの情け容赦ないコールがかかってくるといった事態になってしまいます。

それでは各国の規制状況について見ていきましょう。なお、規制は定期的に更新されますので、正式な規制が状況を把握したい場合は、各規制にかかわる組織/団体の発表を確認してください。

 

<日本>


規制に関する主な組織: 


経済産業省, 消費者庁

 

 

関連法規など:


特定商取引に関する法律

あれ、と思われたかも知れませんが、日本は不思議とアウトバウンドコールに関しての具体的に定められたルールがありません。(電話のダイヤルアップ性能が低かった1990年代頃に「3 分間に 2 回までしかダイヤルアップはしてはダメ」という「ダイヤルアップ規制」なるものがありましたが、昔の話。)

 

2019年現在、最も参考になるものは「日本コールセンター協会」が定めている、「コールセンター業務倫理ガイドライン」です。

 

   http://ccaj.or.jp/telemarketing/

 

Ⅲ項(5)にアウトバウンド業務の実施細則が書かれています。
以下、抜粋しましたが、「原則として」、「心がける」、「べきである」と曖昧な表現が多くあることに気づくでしょう。

①営業日、営業時間
(ⅰ)企業向け(ビジネスツービジネス)の電話は、相手の営業日、営業時間にかけるよう心がけるべきである。
(ⅱ)一般の消費者向けの電話は個人の静謐な生活を妨げないことを心がけ、原則として、午前9時から午後9時までの間とする。
(ⅲ)上記の時間以外に電話をかける場合は、原則として事前に受け手の同意を得るように努力するべきである。

②通話先
(ⅰ)アウトバウンド業務の対象は、原則として顧客リストに基づくものとするべきである。
商品やサービス等の販売を行う場合は無差別に電話をかけることは避けるべきである。
(ⅱ)市場調査などにおいて無作為抽出法を用いてコールセンター業務を行う場合は、目的を明らかにして、通話の了解を事前に得るべきである。

③自動化ダイヤル装置などの使用
サービスの内容によって、自動化ダイヤル装置などを使用する場合は、顧客に迷惑をかけないような措置を講じてから実施するべきである。 

 

これでは、具体的なルールは各アウトバウンド業者の裁量によるところが大きくなってしまいます。

 

コールセンターを運営する企業は顧客保護のために明確なルールを遵守する必要があります。またアウトバウンドコールシステムのベンダーは、その製品内でこれらルールを遵守するための機能を提供する必要があります。

 

では適切な運用ルールはとはどういったものでしょうか。厳しいアウトバウンド規制は顧客保護の面では有益ですが、同業他社に負けてしまいます。また、アウトバウンドコール ビジネスの衰退にもつながります。


顧客保護と効率的なアウトバウンドコールの実施。バランスを取りながら最適なルールを策定する必要があります。その今後の方向性を知るには既に具体的なルールを定めた他国の現状を知ることが有益です。

 

次回は他国の規制について、紹介します。

 

 

アウトバウンドコールの規制について [第2回 イギリス UK]>>