ダイヤラーによるアウトバウンドコール禁止!? Telephone Consumer Protection Act (TCPA)とは?

ダイヤラーによるアウトバウンドコール禁止!? Telephone Consumer Protection Act (TCPA)とは?

 

 

コールセンター業界の皆さん、ご存知の通り、ダイヤラー(システム)によるアウトバウンドコールは禁止されています。但し、ご安心ください。これは北米(カナダ・アメリカ)の話です。
ずいぶん前に、「アウトバウンドコールの規制について [第3回 北米(アメリカ/カナダ)]」を説明しましたが、今回は一歩踏み込んでアウトバウンドの業務の現状について紹介したいと思います。

 

 

Telephone Consumer Protection Act (TCPA)とは?

TCPAを日本語に訳すと「電話消費者保護法」とでも言えばよいでしょうか。これは簡単に言えば迷惑電話から消費者を守るためのルールが決められています。
1991年に制定されてからこれまでに何回か改定され、それに伴いアウトバウンドコールに対する規制内容も強化されています。
 

  • 1991 TCPA 制定
  • 2003 改定 – 自動ダイヤラーの使用に関する制限、Do Not Callリスト運用開始など
  • 2012 改定 – ロボコールに対する規制強化

詳細については連邦通信委員会(FCC)のウェブサイトで確認できます。

https://www.fcc.gov/general/telemarketing-and-robocalls

 

 

TCPAでダイヤラー禁止!?

自動でダイヤリングするシステムの使用は確かに禁止されています。FCCの資料(抜粋)によると、以下のように禁止事項として書かれてあります。

(b) RESTRICTIONS ON THE USE OF AUTOMATED TELEPHONE EQUIPMENT.—
(1) PROHIBITIONS.—It shall be unlawful for any person within the United States, or any person outside the United States if the recipient is within the United States—
 
This summary of the Telephone Consumer Protection Act (47 U.S.C. § 227) is provided for convenience only. Individuals should also refer to the United States Code at
http://www.gpoaccess.gov.
 
(A) to make any call (other than a call made for emergency purposes or made with the prior express consent of the called party) using any automatic telephone dialing system or an artificial or prerecorded voice—
 
(i) to any emergency telephone line (including any “911” line and any emergency line of a hospital, medical physician or service office, health care facility, poison control center, or fire protection or law enforcement agency);
 
(ii) to the telephone line of any guest room or patient room of a hospital, health care facility, elderly home, or similar establishment; or
 
(iii) to any telephone number assigned to a paging service, cellular telephone service, specialized mobile radio service, or other radio common carrier service, or any service for which the called party is charged for the call;

 
この中でも特に(iii)の項目が曲者で、自動ダイヤリングシステムによる、携帯電話へのコールが禁止されています。 アメリカでは家の電話と携帯電話で同じ番号体系を使用しています。そのためこの(iii)の項目は実質的には自動ダイヤリングシステムの使用を禁止していると言えるのです。

実際にこのTCPAに違反している/していないを争点として多くの訴訟が行われています。判例によると、基本的に電話を掛けたものがATDS (automatic telephone dialing system)と認定されると、上記TCPA違反とみなされます。

そのため、各コールセンターシステムベンダーやコールセンタープラットフォームを提供しているクラウド業者などはTCPAに準拠するべく、サービス内容やシステムの機能を調整しています。

参考:米国大手コールセンタークラウドサービス、Five9のTCPA対応。
https://www.five9.com/products/tcpa

 

 

日本のアウトバウンドコール規制の未来は?

今後、日本ですぐにダイヤラーによるアウトバウンドコールが禁止になるとは思いません。理由の一つとして、日本におけるローカル通話が有料のためアメリカに比べて迷惑電話の数がそこまでの規制をかけるほど増えていないためです。

米国ではローカル通話が無料のためあり得ないほどの迷惑電話がかかってきます。消費者目線でいくと、ほぼ毎日何らかの迷惑電話が掛かってきます。これでは規制を強化するしかありません。

 

いかがでしたでしょうか。現在は日本にとって”対岸の火事”といった問題ですが、将来日本でも起こりうるかもしれませんね。

 

関連記事:

アウトバウンドコールの規制について [第3回 北米(アメリカ/カナダ)]