アウトバウンド業務効率化方法について

 

 

2018年現在のコールセンターアウトバウンド業務の効率化策について調査結果をまとめました。

 


 
 

1. アウトバウンド業務とは何か

コールセンター側から顧客側へ連絡する業務を総称して「アウトバウンド」と呼びます。
一般的には電話での発信を指しますが、広義にはメールやショートメッセージ、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス) 等を使用して顧客に連絡することも含める場合もあります。電話機能を使って発信することを「アウトバウンドコール」と呼ぶこともあります。

 

1-1.アウトバウンドの種類(使用チャネル別)
  • 電話(ダイヤラー使用)

最も一般的なアウトバウンド業務の形態。ダイヤラーと呼ばれる機能を利用して事前に準備している発信先リスト元にダイヤルします。「短時間の内に多くの発信先へダイヤルできる」、「オペレーターがマニュアルでダイヤルする時間が削減できる」といった長所があります。

 

  • 電話(オペレーターがダイヤル)

発信先が不特定多数ではなく、特定された少人数相手の場合に主に利用される形態。BtoCではなく、BtoBの場合に多く用いられます。商品やサービスの案内に一件あたり多くの時間を割く傾向があります。

オペレーターが事前に発信先の情報を十分に確認できる等のメリットがあります。

 

  • メール、ショートメッセージ

多数へのメールまたはショートメッセージ配信の多くはシステム化されています。一般的にはプログラムがデータベースから対象の顧客(発信先)を抽出し、事前に準備された内容(テンプレート)に従いメール本文を作成、配信します。

連絡時間(配信時間)について制限を受けないといったメリットがあります。

また、昨今話題となっているソーシャルネットワーキングのメッセージング機能を利用した顧客への連絡について、調査結果によるとまだ使用している企業は少数であり、その成果は判断できません(2018年現在)。

 

1-2.アウトバウンド業務の用途

アウトバウンド業務の用途は多岐にわたりますが、以下代表的な用途をピックアップしました。

 

  • 商品の案内、勧誘

営業電話、テレマーケティングと呼ばれている用途です。主に電話によるアウトバウンドコールが使用されます。一般的にこの分野では一定の割合で発信先が成約に結び付く(商品を購入)するため、多くの発信先にダイヤルすることが重要になります。

 

  • アンケート調査

目標とする回答数を得るため、アウトバウンドコールの発信には多くのケースでシステムによる自動ダイヤリングが利用されます。質問内容が比較的単純かつ、発信者からの回答内容もYes/Noなど選択式の場合、オペレーターは介在せず、代わりにIVRなどのシステムが対応することがあります。

 

  • 契約満期の案内、既存顧客への優待案内

既存顧客のへのプレミアサービスの案内や、契約の更新案内なども含まれます。この用途では多くのケースで発信者が好意的な対応をしてくれるといった特徴があります。

 

  • インバウンド業務の補足

インバウンドで対応した顧客へのフォローアップや足りない情報を得るためにコールセンター側から連絡を取るケースです。



2.アウトバウンド業務の効率化方法

実際に2018年に企業が取り組んだアウトバウンド業務の効率化策です(アンケートの結果が返ってきた会社のみ)。

 

  • アウトバウンド業務自体を外部に委託

全てのアウトバウンド業務を外部に委託したわけではなく、比較的委託しやすいキャンペーン対応を外部へ委託。現在は自社内と外部で二つのアウトバウンド業務を扱っているため、実際のコスト削減効果はまだ見えていない。来年以降はコスト削減効果だけでなく、外部業者によるコンバージョンレート向上も期待する。

 

  • インバウンド、アウトバウンド業務の併用

リソース計画見直しの一環として、インバウンド用オペレーターのリソースが余っている際にアウトバウンド業務を行うようリソース計画を見直し。実現にはリアルタイムでのオペレーターリソース使用率の把握が必要なため、システムのレポート機能を強化。

 

  • システムのマルチチャネル対応

基本は電話でのアウトバウンドコールがメイン業務。他のチャネルで連絡を取った結果がシステムで共有され、「メールで対応した相手には電話を再度掛けない」など、無駄を極力なくす。

 

 

  • システム機能の向上ダイヤラー機能

ダイヤラー機能を向上させ、アウトバウンドコールの放棄呼を抑え、対応可能なオペレーターリソースを極力有効活用。ダイヤラーの設定で目標とする放棄呼率上限(3%など)を変更可能とし、アウトバウンドコールに対する各国の法令、社内規範を遵守する。

 

  • システム機能の追加 ACD機能

アウトバウンド業務における発信先の増加によりコールセンターシステムを社内に導入。従来のPBXにはないACD機能を利用することにより効率的にオペレーターへコールを分配することが可能になった。

 

 

  • システム機能の追加 IVR機能

アンケート目的のアウトバウンド業務において、IVRを導入。この会社ではアウトバウンド業務にIVRを導入することは初めてであったが、目標としていたアンケート有効回答数を取得。

 

 

  • システム機能の追加 AMD機能

アウトバウンド業務においてAMD(Answering Machine Detection)機能を導入。発信先が留守電の場合、システムが対応して、オペレーターにはコールを接続しないため、オペレーターリソースの有効活用が実現。今後はAMD機能の性能(誤検知率など)について実運用での結果をふまえてさらなる検証が必要。

 

  • コールセンターシステムのクラウド化

現在、一部のキャンペーンで試験運用中。CRMシステムや基幹システムがオンプレミスで稼働中のため、これらシステムとの連携に制約がある。

 

 

いかがでしたでしょうか。意外だったことはアウトバウンドでの効率化策としては「AI」や「機械学習」といった回答はありませんでした。

自社の改善策のヒントにされてはいかがでしょうか。