2019年 コールセンターのトレンド大予測 トピック10 (1. コールセンター運営編)



2019年 コールセンターのトレンド大予測 トピック10 (1. コールセンター運営編)

 

 

2019年も明けましたので、今年のコールセンターにおけるトレンド予測を発表します。2018年からの流れがベースになっていますが、ここ、コールセンター先進国であるアメリカの新しいトレンドもふまえています。第1回はコールセンター運営の視点から、第2回はコールセンターシステムの視点からそれぞれトレンドを予測します。

 

 

1. 在宅勤務、リモートオフィス勤務を採用

コールセンター運営者はより多くの労働力を得るため、在宅勤務やリモートオフィスでの勤務を認めていく必要があります。この流れは2019年に入り、さらに加速していくと予想されます。

これら遠隔地からの勤務者の割合を上げていくことは簡単なことではありません。コールセンターが扱う情報の機密性によっては不可能な場合も考えられます。しかしながら現在ではテクノロジーの発展がそのハードルの大部分をクリアしてくれることでしょう。

日本は少子高齢化が進んでおり、労働力が不足しています。遠隔地からの勤務を認め、その環境を整備することはこれら問題を解決する第一歩としても重要です。

 

 

2. 顧客中心主義の見直し

顧客中心主義については当たり前すぎて説明する必要ないかもしれませんね。昨今ではCS(顧客満足度)だけではなくCX(カスタマーエクスペリエンス)という概念にも注目が集まっています。これらを評価するため多くのKPIが活用されています。またこれらを向上させるため多くの手法が提案されています。すでにいくつか新しい手法を業務に取り込んで評価しているコールセンターもあるのではないでしょうか。

2019年はこれまでの「顧客中心主義のため」と謳った多くの手法の中から実際に効果のあるものを吟味して利用するフェーズになると予想しています。乱暴に言うとCSやCXを評価し向上させる手法のうち、最終的に利益に結び付くものが選択されます。

しかしながらこのベストの手法はコールセンターの種類によって異なるため、コールセンターの運営者は自社とその顧客に合った正しい手法を見つける必要があるのです。

 

 

3. 優秀な人材を確保し続けるためトレーニングを充実させる

端的に言うとコールセンター業界は人材が不足しています。オペレーターもそれを監視するスーパーバイザーも足りていません。そのためコールセンター運営者は従業員の離職率を下げようと躍起になります。

離職率が高い要因の一つに「自身の成長が見いだせない」、「キャリアパスが描きづらい。」といったものがあります。そのため、企業はしっかりとしたキャリアパスを提示し、それに必要なトレーニングを提供する必要があります。

また、多くの企業ではそのトレーニングとは通常業務における上司からのフィードバックといったものではなく、別途充実したトレーニングプログラムを準備する必要があると考えているようです。

 

 

4. オペレーション業務のさらなる効率化

これは業務自体の効率化目的と、人材を確保し続ける目的があります。オペレーターが嫌う単純な作業は極力コンピューターにさせて、オペレーターはよりエスカレーションが必要な、高度な業務に集中します。

単純作業の自動化手法としてはAI技術の応用が至る所で始まっています。

 



 

5. Gamification

オペレーターの離職率が高い要因の一つにコールセンター業務が心理的ストレスが多いことが挙げられます。このストレスを和らげる手法は昔から色々考えられ、実際の業務で検証されてきました。例を挙げると、社内表彰制度や特別報奨制度などがそれにあたります。このGamificationゲーミフィケーションという手法もその中の一つです。ゲーム的な要素をコールセンター業務に取り入れ、オペレーター業務をワクワクするものにしようという考え方です。

Gamificationは米国での一例であり、この言葉は日本ではトレンドワードではありません。ここでの要点は「オペレーターの離職率を下げるため、これまでのやり方の延長線上ではない、Gamificationの導入のような抜本的な対策を企業は求められている」ということです。背景には深刻な人手不足があります。

 

 

6. Deeper analytics

テクノロジーの発展とともに、これまで取得できなかったデータが収集できるようになり、また多くの分析手法が登場しました。これらの結果、コールセンター業務はさらに改善され、また顧客に対してよりプロアクティブな行動が取れるようになります。

これら分析は収益に直結するため、多くの企業で分析システムの導入、またはサービスの利用が始まっています。

 

 

7. 過度なパーソナライズからの脱却

これは少し面白いトレンドです。アメリカの幾つかの調査結果は「顧客は過度にパーソナライズされたサービスは求めていない」と指摘しています。しかし、残念ながら企業側の考えは逆です。企業は「顧客は自分だけの、特別なサービスを求めている」と考えています。

2019年は企業側がこのギャップに気付くのではないでしょうか。過度(不要)な顧客サービスをやめて、その分、必要な分野に投資を行うのです。

 

 

8. 高単価プロジェクトへのシフト

これは大手コールセンターで顕著なトレンドです。いくら大手といえど、短期間で従業員は増やせません。法改正もあり、派遣社員、契約社員制度を利用しても大規模な増員は難しいのです。限られた人的リソースの中で収益を上げるため、請け負うプロジェクトをより高単価なものへシフトしていきます。大手業者が受託しなかった案件は準大手、もしくは中堅のコールセンター業者が受けることになります。

 

 

9. コールセンター規模の拡大、席数の増強

新しいコールセンターの開設、席数の増強など各コールセンター業界は拡大基調が続きます。しかしながら人員の確保が最大の課題として存在します。コールセンター業者は人員の比較的確保しやすい地方都市部などをターゲットにしています。

 

 

10. ソーシャルメディアの利用

ソーシャルメディアがコールセンターの収益に与える影響は2018年まではまだ未知数でした。顧客との連絡チャネルが増えたとしても、一部の調査結果では「顧客は依然として電話でのオペレーターとの連絡を第一に望んでいる」ということが指摘されています。

しかしながらソーシャルメディアが多くの若年層とつながることが出来るチャネルであることは疑いようのない事実です。コンタクトセンター業者もシステムベンダーも最適な使用方法について試行錯誤しています。2019年には何かしらソーシャルメディアの有効な利用方法が見つかることが期待されます。