基礎から始めるIP-PBX [第4回 FXOゲートウェイを使う際の注意点]
前回、FXO/FXSについて説明しましたが、今回はその続編というか、FXOゲートウェイを使用する際の注意点です。
FXOゲートウェイは便利な機器で、アナログ回線をLAN上のIP-PBXに接続することが可能です。以下前回のおさらいを簡単にしておきましょう。FXOゲートウェイはFXOポートを持ち、FXSと接続します。また、一方でFXOゲートウェイはLANポートを持ち、社内LANを経由してIP-PBXと接続します。
もし、コールセンターなどで使用する場合は模式的に以下のような形ですね。 多くのコールを抱えるため、複数回線を利用していることが多いと思います。 しかしながらこの時、回線数はエージェントの人数分は必要ありません。そのかわりそのコールセンター業務で必要な同時通話数を考慮して回線を準備します。
アウトバウンド業務でダイヤラーを使用する時に注意。
ダイヤラーの形態については「プレディクティブ」、「プログレッシブ」、「プレビュー」ダイヤリングが有名ですが、その中で「プレディクティブダイヤリング」をFXO Gatewayと一緒に使用する際には注意が必要です。プレディクティブダイヤリングではお客様リストの電話番号に、システムが次々に電話をかけていきます。お客様が応答した場合のみ、エージェントに接続します。不在やビジーなど、電話にでられない場合があるので、多くの運用では、待機エージェントの数より、多く発信します。例えば、待機エージェントが10人の場合、ダイヤラーが30コール発信しても、実際お客様が電話に出られてエージェントの対応が必要なコールは10に満たないといった感じです。
しかし、今回のように間にFXOゲートウェイがある場合はどうなるでしょうか。以下の図のように、FXOゲートウェイはFXS経由でアナログ回線へ接続し、お客様へつなごうとしますが、まだお客様が電話に出ていない段階で、すぐさま200OKメッセージをIP-PBX側に返してしまいます。そのため、例えばIP-PBX側から見るとダイヤラーが30コール電話を掛けると30コール全てお客様につながったように認識し、エージェントに接続しようとしてしまいます。これでは、エージェントリソースが有効に活用できません。
そのため、このようなコールセンターのケースではFXOゲートウェイとIP-PBXの間に本当にお客様が応答しているか判定するデバイスを導入するケースもあります。
そもそも日本ではプレディクティブダイヤリングを利用したアウトバウンドコールセンター業務では上記のようにFXOゲートウェイを利用するケースは少ないかもしれません。
とにかく、今回は「FXOゲートウェイはまだ実際は相手が電話に応答していないのに200OKをIP-PBXに返すことが多いので注意が必要」ということを覚えて頂くことが目的でした。