アウトバウンドコールの規制について
[第3回 北米アメリカ/カナダ]
固定電話に加入していれば通話料無料という国アメリカ合衆国です。ついでにカナダも似ているので見ていきます。現在の日本との違いはやはり「Do not call List」の存在でしょうか。これは平たく言えば、アウトバウンドコール等の勧誘電話を掛けてもらいたくない人は、自分の電話番号をこのリストに登録すれば掛かってこないというものです。逆にいうと、アウトバウンドコール業者はこのリストにある人たちを外してコールしなければなりません。
簡単に書きましたが、実際の運用は複雑です。州や自治体によってもルールは変わってきますし、時期によっても見直されます。また、このリストへの登録は一度すればOKと思いきや、更新がいる場合があったりと、この制度がどの程度有効に働いているかについては別途議論の余地がありそうです。
しかしながら、このルールを守らなかった際に高額のペナルティがでたりと、ある程度の成果は出ているようです。
<アメリカ合衆国U.S.A.>
規制に関する主な組織:
Federal Trade Commission (FTC)
Federal Communications Commission (FCC)
http://www.fcc.gov/guides/unwanted-telephone-marketing-calls
関連法規等:
In the Matter of Rules and Regulations Implementing the Telephone Consumer Protection
(https://apps.fcc.gov/edocs_public/attachmatch/FCC-03-153A1.pdf )
アメリカは州や自治体により、その制度が変わります。そのため、自分が住んでいる地域、ビジネスを始める地域の情報をかならず確認しましょう。あくまでも本稿は一例のご紹介です。
FCCによる規制内容:
- 放棄呼率(Abandoned call rate) 3%以下
前回登場した放棄呼率です。U.Kと同じく3%以下が目標値として定められています。どうやら現実的にこのあたりの数字が順守できる限界なのかもしれません。
UKとは細かいところで違いがあります。この3%を出す期間ですが、U.Kがキャンペーン単位、データセンター単位など細かい指示がある一方、アメリカの場合はこの測定期間を30日と長くとっています。これはアウトバウンド業者の負荷を考慮しているようです。
また、アウトバウンド業者が電話を掛けてよい時間帯も8:00am-9:00pmと明確に制限されています。
<カナダ>
規制に関する主な組織:
Canadian Radio-television and Telecommunications Commission(CRTC)
http://www.crtc.gc.ca/eng/trules-reglest.htm
関連法規等:
CRTC Unsolicited Telecommunications Rules
Telecom Decision CRTC 2007-48 (http://www.crtc.gc.ca/eng/archive/2007/dt2007-48.htm)
Telecom Decision CRTC 2008-6 (http://www.crtc.gc.ca/eng/archive/2008/dt2008-6.htm)
基本的にカナダは考え方がアメリカとよく似ています。細かいところでその設定している値が違います。以下一例です。
- 放棄呼率(Abandoned call rate) 5%以下
- アウトバウンドコールをしてよい時間帯
9:00am – 9:30pm Monday-Fridays
10:00am – 6:00pm Saturdays and Sundays
いかがでしたでしょうか。3回にわたり、アウトバウンドコールの規制についてご紹介しました。これら規制は本当にすぐ見直されます。例を挙げると、前述の「Do not call List」は「アメリカでは消費者の更新がいらない、いや5年毎に更新がいる」、「カナダでは3年だが、今後自動更新となる予定」など様々です。コールセンターにおいてアウトバウンドビジネスを始める際、もしくは見直す際にはかならず、規制当局の最新情報を確認してください。制度は変わるものと認識してコールセンター/コンタクトセンターシステムではこれらの状況の変化に柔軟に対応できるような仕組みを実装することが大事になります。
日本とはちがうね。