基礎から始めるIP-PBX [第3回 FXS/FXO との接続を理解する]
今回はIP-PBX自体からは少し離れて、FXS/FXOと呼ばれるものについて学習しましょう。まずは定義から。
FXS
FXSとはForeign eXchange Subscriber interface(port)の略です。平たく言えば、オフィスや家の壁についているプレートにあるジャックのことです。そしてその壁のプレートのジャックの先は電話会社へ繋がっています。
オフィスや家ではこの壁のプレートのジャック(FXS)にケーブルコードの片側を挿し、もう片側をアナログ電話やFAX、モデムなどをつなぎます。こうすることにより、壁についてあるジャック(FXS)からダイアルトーン、バッテリ電流、呼出信号電圧がアナログ電話等へ伝播されます。
FXO
FXOとはForeign eXchange Office interface(port)の略です。こちらはアナログ電話機やFAX、モデム側にあるジャックの事です。非常にシンプルですよね。
また、アナログ電話機やFAX、モデムなどはFXOポートを持っていることから、「FXOデバイス」と呼ばれます。
これまでの説明を図で表すと以下のようになります。
しかし、従来のオフィスには通常内線用のPBXがあり、電話機も複数台あります。そのため下の図のようにFXOポートとFXSポートを持つPBXが間に入る形になります。
ここまでは従来のアナログ電話/ビジネスフォンの時代の話ですが重要ですのでまずはここまでを理解しましょう。以下のように覚えておいてください。
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FXS(ポート) ->壁のジャック。
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FXO(ポート) ->アナログ電話機などについているジャック。
VOIPを使用したときの基本構成
説明を簡単にするために旧PBX網は持たず、IP-PBXだけを使用している会社を例にします。
FXOゲートウェイを経由してIPPBXに接続
電話会社からFXSまで来ているアナログ回線を社内のIPPBXと接続するためには「FXOゲートウェイ」を利用します。FXOゲートウェイはFXOポートを持ち、ケーブルを介して壁のジャック(FXS)と接続します。また、一方でFXOゲートウェイはLANポートを持ち、社内LANを経由してIP-PBXと接続します。以下の図のようになります。
FXOゲートウェイの左側はVoIPですのでLAN上を主にSIPプロトコルやRTPプロトコルを使用してやり取りを行い、右側はアナログ回線の手続きに従うことになりますが、FXOゲートウェイがこの違いを吸収する役目となります。
FXSゲートウェイを経由して従来のアナログ機器に接続
また、FXSゲートウェイというものもあります。こちらはIP-PBXからアナログ電話などFXOポートを持つFXOデバイスに繋ぐため、下の図のように間に入ります。FXSゲートウェイはLANポートとFXSポートを持っています。
この図ではFXSゲートウェイの先はFXOポートを持つアナログ電話が描かれていますが、この他FXOポートを持つ従来のPBXを配置することも可能です。その場合、社内で従来のPBXによるアナログ電話網とIP-PBXによるVoIP網間で接続することが可能となります。
いかがでしたでしょうか。基本的な概念は理解できたかと思います。日本にいると最近は「IP-PBXに光回線を直収して全てVoIP※1」も可能かもしれませんが、世界的に見るとそういうわけにはいきません。国によりまだまだインターネット回線の価格が高い場所も多く、その場合は従来のPSTNをメインに使います。そのためどうしてもこのようなゲートウェイが必要となります。
※1.光回線(IP電話)の直収についてはこちらの記事で詳しく説明しています。
また、今回は説明しませんでしたが、IP-PBXのアプライアンス製品などではLANポートWANポート、FXOポート、FXSポートを標準装備している機器も多く市場に出回っています。それらの機器を使う際に、今回ご紹介した概念を思い浮かべてもらえたらと思います。
はやく昔の電話のなくなって。。。
電話自体がコールセンターなど特殊な環境以外ではいらなくなるのでは??