BLF(Busy Lamp Fieldビジーランプフィールド)とSCA(Shared Call Appearance シェアードコールアピアランス)機能



BLF(Busy Lamp Fieldビジーランプフィールド)とSCA(Shared Call Appearance シェアードコールアピアランス)機能

 

小規模コールセンターやコンタクトセンター、オフィスでよく使用される機能ですが、平たく言えば「ラインキー」機能についての紹介です。一般の人はオフィスでよく見たことがあるのではないでしょうか。電話機にボタンがいくつも付いており、呼び出し中や話し中、保留中などでボタンの色や点滅方法が変化する、そうあれです。


日本ではよく見る光景ですが、アメリカなど個人主義が広く行き渡っている職場では、このラインキーという文化は余りありません。自分に掛かってきた電話だけ取るためです。
「ただのボタン操作の機能でしょ?」と思われるかもしれませんが、この機能のせいで旧世代のPBXから次世代のIPPBXへの移行が進まないという問題もあるため、今回フィーチャーしました。


BLF,SCAについて機能の違いをイメージできるようにしよう。
BLF(Busy Lamp Fieldビジーランプフィールド)とSCA(Shared Call Appearance シェアードコールアピアランス)の機能の違いを紹介します。


BLF(Busy Lamp Fieldビジーランプフィールド):

ユーザは自分のSIP電話機のボタンを見ることでそれぞれのボタンに割り当てられた他のユーザのラインの状況をリアルタイムで監視できます。また必要において電話をピックアップすることもできます。 

例えば、AさんのSIP電話機のボタンに以下のように割り当てられています。


ボタン1: 通常業務で使用中の電話番号
ボタン2: 部下Bさんの電話番号
ボタン3: 部下Cさんの電話番号


今、ボタン2が緑に点滅中、ボタン3が緑で光りっぱなしだった場合、Aさんは「部下Bさんの電話が呼び出し中、部下Cさんは通話中」と判断できるわけです。もし、部下Bさんがいなかった場合、Aさんはボタン2を押すことで部下Bさん宛ての電話をピックアップするといったことも可能です。
(ボタンの点滅の仕方や色はあくまで例です、SIP電話機によって異なります。)

 

SCA(Shared Call Appearance シェアードコールアピアランス):

こちらもBLFと同じようなボタン操作ですが、少し考え方が違います。その名の通り、回線を共有するような使い方です。同じようにAさんのSIP電話機のボタンで考えてみましょう。


ボタン1: 通常業務で使用中の電話番号
ボタン2: 通常業務で使用中の電話番号
ボタン3: 通常業務で使用中の電話番号


といったイメージです。同じライン割り当てが部下Bさん、部下CさんのSIP電話機にもされています。例として業務電話番号1234-5678宛てへ掛かってきた電話はまずA,B,Cさん全員のボタン1が点滅します。次に同じ番号宛てにかかってきた場合は全員のボタン2が点滅します。A,B,Cさんはどの通話に出るかボタンを押すことによって選ぶことができます。また、通話が終了するとそのボタンのランプは消え、再度、電話番号1234-5678宛てに掛かってきた際、ボタンは再利用されます。
この機能は小規模コールセンター/コンタクトセンターシステムで使用されている場合もあります。

 

ラインキー操作は日本独自の文化のため、海外のIPPBXでは対応できていない?
日本独自のラインキー操作を実現するためには、電話機側、PBX側それぞれで機能が備わってなければいけません。しかしながら、それら仕様は従来のPBXや専用の機器内で長らく非公開であり、標準化もされていませんでした。これが海外からの良質なSIP電話機やIP-PBXの参入を妨げている要因となってきました。


BLF / SCAで次世代SIP端末+IPPBXでのラインキーを実装する
 そこでBLF, SCAの登場となります。これらの機能でIP-PBX + SIP端末でのラインキー操作を実現しているのです。これらの仕組みは標準化とまでは行きませんが、各IP-PBXベンダー、SIP端末ベンダーがそれぞれの製品の仕様を公開しているケースが多くあるため、今日では対応している機種も多く見られるようになりました。いくつかご紹介します。

 

Asterisk(アスタリスク)
ご存じ、IP-PBXのオープンソースソフトウェアです。とは言っても実質は米Digium社が開発しています。Elastix(http://www.elastix.org/)など有名なディストリビューションもあります。ラインキー機能はまだ実装されはじめた段階です。しかし、オープンソースのため、Asteriskを利用した自社ブランドの製品やソリューションを販売しているベンダーが多く見られ、国内ではそれらベンダーが自社の差別化の理由の一つとしてこれらラインキー機能を提供している場合があります。知る限り、以下の機種に対応しています。あくまで例です。
 対応機種メーカ: ポリコム,Grandstream,Snom,Yealinkなど

 

Brekeke software(ブレケケ ソフトウェア)
日本では知る人ぞ知る、世界では有名なSIPベースのIP-PBXベンダーです。本社は米国カリフォルニアですが、日本に関連会社である日本ブレケケ(http://brekeke.jp)があることもあり、日本の電話文化を吸収してIP-PBX製品に反映しているようです。仕様はWebサイト(http://wiki.brekeke.com/wiki/SCA-Settings-on-the-phone-side)で公開されていますので、そこからの情報によると少なくとも以下のメーカの機種には対応しているようです。
 対応機種メーカ:Panasonic,Polycom,Snom,Linksys,Yealink,Grandstreamなど

 


CISCO
言わずと知れた、ネットワーク機器大手シスコです。2003年にLinksys(リンクシス)を買収しています。今でもLinksysのブランドは健在です。シスコの製品としてはCisco Unified Communications ManagerがBLFに対応しています。SCAについてはどこまで対応できているか確認できませんでした。しかしながら、Linksysのブランドで販売されているSIP端末は多くのBLF、SCAに対応していることで有名です。

 

今回はBLF(Busy Lamp Fieldビジーランプフィールド)とSCA(Shared Call Appearance シェアードコールアピアランス)といった、あまり聞き慣れない機能の解説でしたが、皆さん機能自体には知らず知らずの内にコールセンターやオフィスで触れていたのではないでしょうか。本稿でこれらBLF/SCAの機能について少しでもイメージを持てるようになれば幸いです。